2026年10月1日木曜日

 臨床画像 2026.8


<心臓腫瘍>

①局在

②年齢や背景疾患(Af,悪性腫瘍既往,炎症性疾患など)

③画像で可動性、付着部位、造影効果、脂肪石灰化の有無



・原発性心臓腫瘍の75-90%が良性。

 悪性は転移が多く、血管肉腫、悪性リンパ腫、中皮腫と続く。

・年齢:以前は成人では粘液腫最多と考えられていたが、弾性線維腫が最多。他に脂肪腫、血管腫。

 小児では横紋筋腫が最多で、線維腫、奇形腫と続く。

・局在:

 心房 粘液腫,肉腫。心室 横紋筋腫,線維腫。心膜 脂肪肉腫。心臓弁 乳頭筋線維腫と疣贅。どこでも 血管腫,脂肪腫,悪性リンパ腫,転移,血栓。


・血管肉腫:右心房で80%であり、上大静脈や冠動脈に沿って浸潤し、心房中隔は保たれやすい。心膜にも発生浸潤し、血性心膜液貯留を伴う。

 画像所見は出血壊死。MRIでcauliflower appearance(腫瘍内の点状結節状の高信号)、sunray appearance(広範な心膜浸潤で、心外膜から心膜にむかって放射状に伸びる索状の造影増強効果)。

・横紋筋肉腫:小児原発性心臓悪性腫瘍で最多。発生母地は心筋だが、弁への浸潤傾向がみられるのが特徴。ときに中心部壊死。

・粘液腫:左房75%で、心房中隔卵円付近窩の有茎性腫瘤として認めることが多い。右房20%。他は心室内や大静脈内にも。

 90%が単発性。若年・多発・左心房以外の発生で、Carney complexを考慮する。

 画像は粘液基質を反映するが、壊死・出血・線維化で不均一なことも。

・脂肪腫:ほとんど単発。心房中隔の脂肪濃度病変として、心房中隔脂肪腫様過形成がある。

・横紋筋腫:小児心臓腫瘍で最多。最大90%、ほとんどが1歳までに診断され、その後成長にともなって自然退縮することも多い。60%で多発する。左心室自由壁発生が多いが、大血管発生で弁機能不全や流出路非側をきたすことも。

 画像は、CTで心筋よりもわずかに低-等吸収、不均一弱い造影効果。MRI T1WI等信号、T2WIやや高信号。

 6-8割は結節性硬化症に合併するので、考慮。また、結節性硬化症の5-6割でmyocardial fatty fociとよばれる心筋への脂肪沈着が見られる。

・線維腫:小児二番目。線維芽細胞と膠原繊維によって構成される。石灰化を3-5割で認める。

 左心室自由壁や心室中隔に好発し、画像上は肥大型心筋症と鑑別。

 家族性大腸腺腫症やGorlin症候群にも合併し、この場合心房発生が多い。

・奇形腫:心膜発生では右に好発し、大血管に茎を有して心膜腔内に存在。

 心臓内発生は若年小児に多く、新生児-6歳までに発生。

・心臓悪性リンパ腫 primary cardiackymphoma:8割がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫。平均60歳、男性に多い。右心系特に右房に王発し、複数の心腔や心膜へ浸潤することも。鑑別となる血管肉腫よりも壊死や出血が目立たない。

・転移性心臓腫瘍:心外膜・心嚢・心筋・心内膜や弁などどこでも。

 原発巣は、37%肺癌、血液腫瘍、乳癌、食道癌の順。

・乳頭状線維弾性腫:イソギンチャク様(sea anemone-like)の形態が特徴。腫瘍自体には血管成分を含まない。

 弁尖、腱索、乳頭筋などの左室構造物に付着する、有茎性で可動域に富む小腫瘤(多くは2cm以下)

 画像は粘液様変性、豊富膠原繊維に造影剤が分布。


<心臓腫瘍のミミッカー>

・心房市中隔脂肪増生、慢性拡張性血腫、左房血栓、IgG4など冠動脈周囲腫瘤

・心房限局性巨細胞性心筋炎 Atrial giant cell myocarditis:

 特発性巨細胞性心筋炎はリンパ球や多核巨細胞,好酸球の心筋へのびまん性浸潤を特徴とし、心筋壊死や線維化をきたす。自己免疫疾患や炎症,アレルギーの関与が推定されている。

 心房限局型だと、左房壁のびまん性肥厚と同部位の炎症性変化が特徴で、予後良好。

・IgG4関連心房限局心筋症、限局性心房アミロイドーシス:上記とも画像がそれぞれ似る。アミロイドーシスで左房解離をすることも。

 

2026年8月18日火曜日

 臨床放射線 2026/5-6

 

<漿液性境界悪性卵巣腫瘍茎捻転>

・捻転は癒着のない良性卵腫瘍に多く、悪性腫瘍発生は稀

・症例は50代女性で被膜破綻による広範囲出血をきたしていた。捻転によるwhirlpool sign(渦巻き状構造)とprotusion(子宮の間の突出構造)、腫瘍周囲の血腫を認めた。

 

<脂肪肉腫様分化を伴う子宮癌肉腫>

・癌肉腫は上皮成分と間葉系成分からなる。上皮成分が上皮間葉転換をへて、間葉系成分を獲得するという「転換理論」が支持されている。。

平均年齢70歳と高齢に。60%で子宮外病変。

間葉系成分は、内膜間質肉腫などの同所性成分や、横紋筋肉腫(18%)、軟骨肉腫(10%)、骨肉腫(5%)などの異所性成分に分化しうる。脂肪肉腫様分化は1%程度とまれ。

・症例は80代女性で子宮内腔を占拠する巨大腫あり、造影不良域を伴い、一部に脂肪濃度。Airも認め、発熱原因に子宮内感染も示唆された。

 

<卵巣ディスジャーミノーマの捻転>

・ディスジャーミノーマ(未分化胚細胞腫)は卵巣原発胚細胞性腫瘍で最多。10-20歳に好発。右卵巣に好発し、10-15%で両側性。血清LDHがしばしば上昇したり、ALP,CA125,hCGなど上昇することがある。

 画像は充実性、分葉構造。線維血管隔壁(fibrovascular septa)が特徴的で、T2WI低信号で造影効果を伴うことが多い。浮腫の程度によりT2WI高信号を呈し、造影効果と伴わない場合もある。隔壁は、薄い非浮腫性隔壁、薄い浮腫性隔壁、厚い浮腫性隔壁、地図状n浮腫性隔壁の4タイプに分類され、半数は複数種類の隔壁をもつとされる。また、隔壁から収束する血管(central blood vessels)も特徴の一つとされる。腫瘍は高細胞密度とされる。

・症例は8歳女児。腹痛で来院。

 

<中枢神経系悪性リンパ腫:PCNSL>

・PCNSLは免疫正常で孤立性、均一な造影効果、脳室周囲白質-脳梁、基底核に好発する。しかし、免疫正常な非HIVでもまれに出血や非典型な造影パターン(0-13%でリング状造影増強)。

・症例は70代男性。多発、出血、open-ring状の増強を示し、ADEMや(その重篤型の)AHLEや血管炎との鑑別が問題となったが、DLBCLだった。

・過去の報告もDLBCLが多い。CD105やVEGF陽性から、腫瘍血管の脆弱性が考えられる。また、明らかな出血でなくても54%でT2*低信号を確認との報告もある。

 

<ゼラチンスポンジ肉芽腫>

・頭蓋内のゼラチンスポンジでの合併症は稀。非吸収性止血剤。

 この異物反応は、マクロファージが融合した異物型多核巨細胞が出現することが特徴。

 リスク因子として、低年齢、アレルギー素因による過剰な免疫反応、ゼラチンスポンジが大きいこと、留置部の脳組織の梗塞や血管内血栓痙性、CRT後の血球減少による分解吸収阻害。

 術後数日から2.5か月ではリング状の造影効果を呈し、術後三か月後移行は均一結節状造影効果を占めるという。造影効果は炎症細胞浸潤や肉芽を、T2WI高信号は内部液体を、低信号は肉芽の線維成分を反映し、時間経過とともに肉芽がゼラチンスポンジの周囲から内部に進展するとされる。

・症例は7歳女児で、ナッツアレルギーあり。内視鏡下第3脳室開窓術後に発生。鑑別はゼラチンスポンジアレルギーや脳膿瘍。

 

<腹膜中皮腫>

・胸膜中皮腫(90%「)についで、腹膜中皮腫(7%)は多い。年々腹膜が増加傾向。胸膜よりも診断時年齢が若く、アスベストとの関連が強くない。一方でアスベスト高濃度暴露で、発生リスク上昇や潜伏期間が長く20年と報告される。

 組織学的には、上皮型、肉腫型、二相型に分類。上皮型が多い。

 画像パターンは、dry type(腫瘤形成型:結節状や板状腫瘤)、wet type(腹水型)、combined type(混合型)に分類。T2WIでは高信号、拡散制限はまちまち。

・症例は50代男性。偶発指摘の肝腫瘤として精査。肝ドーム下や左葉橈側に、境界明瞭腫瘤。T1WI低信号、T2W高信号、早期からの造影効果、ADC低下なし。

 

<膵管内管状乳頭状腫瘍(ITPN)>

・ITPNは粘液算出の乏しい高度異型上皮によって構成される膵管内腫瘍。比較的新しい疾患概念。

 膵管内に、管状,乳頭状に造成する。粘液産生なく、MUC2,MUC5AC陰性なこと、腫瘍全体がhigh gradeなことがIPMNとは異なる。

・症例は60代女性。後方視的に7年前から、主膵管拡張が出現明瞭化、不明瞭化、再度明瞭化。T2WIで不均一高信号、DWI高信号の病変を拡張膵管内に認めた。鑑別は、NET,腺房細胞癌の主膵管内進展。

 この経過は、ITPNの出現による主膵管閉塞により主膵管が拡張し、管腔構造が這うように充実性に置換されたことで液体成分が見えなくなり、さらに病変進展による末梢圧上昇で再度主膵管が拡張したと考えられた。同様の経過報告あり、特異な経過が特徴的な可能性も(他の腫瘍でもみとめる経過の可能性も)。

 

<10年間に胸膜外血腫、胸壁血腫、腹直筋血腫、血胸を発症>

・症例は60代女性。

 交通外傷後遺症または先天性要因で左下位肋骨先端が鋭角化したことや腹圧負荷によって、ひきおこされた可能性。

2026年7月9日木曜日

 臨床放射線 2026/3-4


【膠原病に合併するNTM】

・膠原病の気道病変とNTM-PDの画像的鑑別は単回CTでは困難。膠原病の既存の気道病変に加えて、NTMによる新たな陰影が出現する。拡張気道末梢や細気管支病変に、新規の小葉中心性結節、気管支拡張の悪化や気道内粘液増多、新規空洞病変、繊維化領域に新たな嚢胞壁肥厚や内部浸潤影、その陰影の可逆性。


【外傷で嚢胞内出血をきたした成人腎多嚢胞性過形成】

MCDKはまれだが、片側性に正常腎実質を欠き、腎機能を有しない多房性嚢胞に置き換わったもの。両側だと生存困難なので、原則生存例は片側性。


【肺コロイド腺癌】

肺コロイド腺癌は多量の粘液の中に腫瘍細胞が浮遊する特殊腺癌。2015年WTO第4版で初めて明確に定義。

細胞外粘液が肺胞腔を破壊しながら進展し、粘液量に対して腫瘍細胞が少ない。肺内気管支原生嚢胞、知粘液産生性腺癌の肺転移などの嚢胞性腫瘍が鑑別となり、生検術前診断は難しい。

画像は典型的には、孤立性境界明瞭腫瘤で、中心部の粘液プールを反映した、造影効果の乏しい像となる。腫瘍辺縁部や内部隔壁構造にとって、少量造影効果を認めるときがあり、粘液を取り囲む腫瘍細胞集積によると考えられている。


 【腎anastomosing hemangioma】

2009年に初めて報告された稀な良性腫瘍で、全身の様々臓器に。腎や腎周囲発生が半数。

被膜を有さず、毛細血管大の血管腔の吻合による類同様構造が特徴的で、血管肉腫と類似するが、悪性所見は認めない。画像でも腎癌や腎血管肉腫と似る。


【帝王切開瘢痕部の子宮腺肉腫】

腺肉腫は良性線上皮と肉腫成分から構成される混合性腫瘍。典型的には子宮底部から発生し、有茎性の大型ポリープ様隆起性病変を形成する。


【若年のACA A1動脈瘤】

再破裂を繰り返したから、長期再発のリスクを考慮して確実性の高い方法が考慮される


【側脳室発生のSFT】

中枢神経SFTは、テント上70%、後頭蓋窩15%、脊椎15%。

側脳室から松果体にかけて発生するもyin-yang-signを認めた。WHO grade 3で、それ以外のgradeより隣接する硬膜静脈洞や頭蓋,軟部組織「への浸潤をともない、正中線を超えて発育する可能性が高いとされる。また、ADC値が低いほどgradeが高いとされる。yin-yang-signは、T2IWにて高信号成分と等-低信号成分の混在で、線維性間質が豊富なfibrous SFTと中-高細胞密度のcellular SFTの併存で生じる。


【腹壁皮下脂肪式内のDLBCL】

びまん性大細胞性B細胞性リンパ腫は全リンパ腫の30%を占め、節外性も全身に発生することがある。内部壊死のためか、造影効果が辺縁優位の軽度であり、非典型であるが、造影効果が均一でなく辺縁や中隔の報告もある。

悪性リンパ腫は、週-月単位の短期間に急速出現/増大する皮下腫瘍の鑑別になる。


【CTガイド下生検で診断の心臓血管肉腫】

心不全症状をきたした40代男性の右冠動脈周囲から下行大動脈周囲の6cm腫瘤。心膜肥厚も認め、血管肉腫、悪性リンパ腫、胸膜中皮腫など悪性疑い。心膜腔造影にて腫瘍辺縁を可視化して、生検。

心臓血管肉腫は、原発性心臓悪性腫瘍最多で、右心房に好発し、しばしば心膜に沿って浸潤。進行は早く、切除不能のことが多い。血管内皮細胞由来。内部に血腫や血栓をともない、内部不均一。


【前縦隔Castleman】

非造影だが、内部に淡い樹枝状石灰化。T2WI flow voidを伴った高信号で血流豊富疑い。

単中心性キャッスルマン病は、単純CTで骨格筋と等吸収、点状や樹状の石灰化、腫瘤周囲に脂肪組織増加や脂肪組織内の線維化、周囲の小リンパ節を伴うことがある。

(鑑別代表の胸腺腫はしばしば、嚢胞変性や壊死を伴い、造影効果は不均一)


【免疫チェックポイント阻害剤による筋炎】

一例は70M、腎癌術後のペムブロリズマブの投与後2週間後から症状とCK上昇。もう一例は50M、食道胃接合部癌に対して、ニボルマブ投与後2週間で症状。MRI画像はいずれも、近位筋優位、対称性、筋内のdot状や結節状、筋膜に沿った線状信号異常。

血管炎と機序が異なるが、irAE筋炎では、CD8陽性T細胞優位の炎症細胞が血管や筋膜周囲に浸潤し、筋束単位の変性が起こり、壊死や再生繊維の集簇を生じるとされる。

 irAE筋炎と比較して、皮膚筋炎で筋自体の信号変化が強くdot/結節状造影効果が弱いのは、炎症細胞浸潤が毛細血管を標的とするため、浮腫性変化が主であるからかと考察。

【肝類上皮血管内皮腫の肺転移】

類上皮血管内皮腫EHEは、非常にまれな低悪性度の血管内皮細胞由来腫瘍。体内どこでも発生し、単発、多中心性発生、全身転移も認めることがある。肝EHEの画像は、腫瘤辺縁んの陥凹、石灰化、lollipop sign(脈管が腫瘍につきあたり途絶してみえる), target sign(腫瘍内部が辺縁よりも造影不良を呈する)。肺EHEは気管支周囲の多発結節が多いが、多発結節、網状結節性、胸膜浸潤、びまん性胸膜肥厚の4パターンある。


2026年6月26日金曜日

第55回頭頚部胸部画像研究会

~頚部編~


①    顎関節の腱滑膜巨細胞腫:TSGCT

T2*やSWIで強い磁化率を認める

6症例検討。100%で難聴や耳閉感などの聴覚症状あり(関節軟骨の種類や関節面に被覆によるものか)。CTでは全例溶骨性変化、中耳や頭蓋内に浸潤、造影効果。T2WIでは半数が著明低信号、半数が不均一、signal voidも。著明なFDG集積。硬膜浸潤あるも、脳浮腫なし。CTではよく染まるが、MRIでは染まらない解離がある(豊富なヘモジデリンによるT2短縮効果がGd造影効果(T1短縮効果)が埋没される)。顎関節可動域などの症状は乏しい。

②    嗅神経芽細胞腫術後CTの鼻中隔粘膜弁を用いた再建の経時変化

局所の軟部濃度経時的増減をじばしば認めるため、38例検討。

機序としてNasal cycle(鼻粘膜の生理的変化)でのが考えられる。皮弁サイズと栄養血管の違いにより、術後血流動態への影響が推測される。(篩骨動脈は血流多い。)

増大縮小をくりかえし、数mm程度の変動、無症状であれば非腫瘍性を考えやすい。

③    特発性髄液鼻漏による漏出部位同定検討

篩板と蝶形骨外側陥凹に多い

特発性頭蓋内圧亢進と関連。篩板の瘻孔は1-2mmと微小のことが多い。高精細CTで嗅裂のわずかな局所軟部濃度を検出することが重要。(炎症や、無症状骨性狭小化でも認めることに注意)

蝶形骨外側陥凹は、蝶形骨洞の含気化とarachinoid pitを背景としての、脳圧亢進で起こりやすい。

④    外耳道腺様嚢胞癌

耳垢腺や異所性唾液腺から。緩徐進行性、浸潤性が強く、神経周囲進展や骨浸潤多い。篩状型、管状型、充実型。組織的には唾液腺ACCと似てる。

病理悪性度と局所浸潤性は一致せず。T2WI不均一でADC低値が組織学的悪性と、PET定量値が局所浸潤性と関係する可能性。

⑤    局所進行扁平上皮癌の術前免疫療法後の画像所見。

6例の検討。1例で、原発巣周囲にSTIR高信号を認め、腫瘍は消失痕あるも炎症細胞浸潤あり。リンパ節も、増大で転移ありや、増大で反応性腫大も認めたり(Pseudoprogression)、周囲浮腫信号(炎症細胞浸潤)が出現したり。

炎症、偽増悪様変化が混在するので注意。

⑥    空洞形成を伴う舌癌肺転移による気胸

舌癌、局所再発多発リンパ節転移再発とともに、舌癌多発肺転移。化学療法およびPembrolozumabにより気胸。

空洞発生機序は、急性増大による中心性壊死、チェックバルブ機構、治療誘発壊死がある。胸膜直下、空洞痙性、治療導入時に注意。

 第55回頭頚部胸部画像研究会

~胸部編~


①    シェーグレン関連の肺アミロイドーシス

50F。SjS外来観察中、肺嚢胞が年単位に増加増大。辺縁に脈管を伴う。肺底部胸膜下に半円球状すりガラス、小結節も、喉頭にも腫瘤ができ、ALアミロイドーシス。

HE染色で好酸性。肺アミロイドーシスの診断。

嚢胞4-46%:今まではLIPとされてきたが、濾胞性細気管支炎、アミロイドーシス、MALTリンパ腫と関連。結節92%。石灰化。SUV 3ほどのFDG集積。

②    樹枝状肺骨形成

40M。検診異常。下葉有意にびまん性に小葉間隔壁肥厚と微小石灰化。

無症状、40-0代に多い。結節性と樹枝状とある。

続発性は肺線維症、慢性炎症、肺うっ血が背景疾患として多い。繊維化に伴って肺胞隔壁に骨化巣、石灰化は分岐し、骨髄を含む。

結節性は、大部分が肺うっ血により肺胞内に沈着。

③    中縦隔のMuller管嚢胞

53F。検診発見。

閉経前後の女性に好発。傍/前椎体、特に後縦隔、Th4/5に好発。BMI高値、婦人科疾患既往、ホルモン製剤使用との関連を示唆。

中縦隔といっても椎体前方。男性例も二例(時々)。気管支原生嚢胞のほうが緊満感。

④    陳旧性骨折部に発生の髄外造血巣

50M。偶発的に骨盤内腫瘤。33年前から成人Still病、慢性貧血、骨粗鬆症、多発骨折などの既往。骨盤内に脂肪性腫瘤。恥骨の陳旧性骨折部から化骨形成、放射状構造、被膜隔壁の造影効果、内部不均一淡い造影効果。鑑別は髄外造血、副腎外骨髄脂肪腫、脂肪肉腫。

生検で確定。

肝脾臓に多いが、リンパ節、傍椎体などに。骨折部位からの造血細胞は腫や骨髄組織の逸脱の機序が疑われている。

⑤    葉間裂の嚢胞性病変の鑑別

70M。胸部単純写真指摘。液体の入った、可動性や経時的にサイズ変化のある、嚢胞。心膜嚢胞が入り込んだものかと考えたが、胸腺嚢胞だった。

胸腺原基からは頚部報告が多い。

⑥    オミクロン株以降のCOVID-19に気管喉頭のCT所見 138例

気管支壁肥厚、声門下肥厚、CT所見の肺炎パターンを確認

平均80歳、読影間一致は良好

気管喉頭肥厚は1/3ほどで認めた

ウイルス性肺炎パターンは少なく、肺炎無しで気管喉頭所見で相関あり。

2026年6月13日土曜日

 <臨床放射線2026.3-4>


【Alzheimer病のPET画像バイオマーカー】

・アミロイドβたんぱく(Aβ)、タウタンパクの脳内蓄積が関与あ

・抗Aβ抗体役の承認により、アミロイドPETが保険適応となり、タウ標的の新規治療薬開発と画像バイオマーカーのニーズが高まる予想


【フルシクロビンPET】

・フルシクロビンは、天然アミノ酸とは異なり細胞内にとりこまれても代謝されすに蓄積する、合成アミノ酸

・11Cメチオニンは細胞内で代謝され、11Cは18Fより陽電子飛行が長いため、18Fフルシクロビンのほうが画質が優れる

・初発の悪性神経膠腫が疑われる患者の腫瘍可視化。術前MRIの補助。

・脈絡叢、静脈叢、下垂体、骨髄、骨格筋の生理的集積がほぼ全例でみられる。松果体にも時に。

 他のアミノ酸製剤同様、腫瘍のみならず、脱髄性疾患や炎症で集積亢進を認める。

・実際の読影

①無集積の神経膠腫

 CT/MRI融合画像でなく、PET元画像を確認する。無集積部位は、血流のない部位であり、嚢胞性腫瘍か高度壊死と考える。辺縁わずかな充実部に集積亢進の場合、Pilocystic astrocytomaなど。

②低集積の神経膠腫

 非常に淡い-脳実質の生理的集積と同等程度の集積。腫瘍位置指摘がPETのみでは困難なので、CT/MRIでもよく確認する。神経膠腫であればGradeの低いものであるが、他の脳腫瘍や炎症性変化のこともある。Astrocytomaが大乗であるが、これはOligodendrogliomaより集積が低くなることが多い。Grade 2やKi67 20%ほどでも低集積となることがあり注意。

③中等度集積の神経膠腫

 脳実質集積より高く、静脈洞集積程度までの集積。MRIでは造影効果がないが、FLAIR高信号のなかにPET集積の強弱描出されることが多く、腫瘍進展範囲や生検部位決定など、臨床的に有益な集積になることが多い。

④高集積の神経膠腫

 静脈洞よりも高い集積で、MRI造影効果と集積部位が一致することが多い。腫瘍辺縁で造影効果はないがFLAIR高信号の部分の中で、PET集積の強弱をみる。


2026年5月30日土曜日

 臨床画像 2026.5

中枢神経領域知識の再整理


 

<自己免疫性脳炎:AE>

・神経細胞内抗原にたいする抗体、神経細胞表面・シナプス抗原にたいする抗体、に大別するとわかりやすい

・神経細胞内抗原にたいする抗体:Hu, Yo, Ma2, CV2/CRMP5, Ri, Amphiphysinなど。細胞障害性T細胞が関与する傍腫瘍性神経症候群として発症することが多い。一般に免疫療法への反応は限定的。

神経細胞表面・シナプス抗原にたいする抗体:NMDAR, LGI1, CASPR2, AMPAR, GABA R, DPPXなど。抗体による可逆性なシナプス機能障害主体で、免疫療法への反応は比較的良好。

GFAPやMOGなどのグリア/髄鞘関連抗原に対する自己抗体もある

・GFAPは成熟アストロサイト、MOGはオリゴデンドロサイト表面および髄鞘最外層に発現する蛋白

・背景腫瘍の関連: 抗Huは小細胞肺癌、抗NMDARは卵巣奇形腫、抗Ma2は精巣腫瘍が代表的。

・AEはまず3か月以内に進行する亜急性経過が前提。

 加えて、記憶障害、意識変容、精神症状を中核症候として疑う。

 加えて、新規局在兆候、原因不明の新たな痙攣発作、髄液細胞増多、MRI異常のいずれを伴い、他の原因が合理的に除外されることで診断される。

 自己免疫性辺縁系脳炎は、両側内側側頭葉のMRI異常信号。

・AE患者の61%に発症時MRI異常、最多は辺縁系。

 

・AE画像

 典型像は、辺縁系脳炎。LGI1, GABABR, AMPAR, GAD65などが上がる。

 皮質・皮質下病変は、多発性だとGABAAR関連が代表的。抗NMDAR抗体でも。MPGADのcerebral cortical encephalitisも、皮質高信号と痙攣発作の鑑別に。

 基底核病変は、D2R関連、CV2/CRMP5関連、稀にNMDAR関連で。若年者で精神症状や不随意運動を伴う場合に鑑別に挙げる意義あり。他の基底核を侵す疾患、CDJ、代謝性や感染性疾患が鑑別。

 間脳視床下部は、Ma2関連で。

 脳幹小脳病変は、細胞内抗原関連の傍腫瘍性病変で比較的多く、Ma2, Ri, Yo, Huなど。

・独立した自己免疫性中枢神経炎症性疾患に、GFAP astrocytopathy。Gd造影後で血管周囲に沿った放射状造影造影増強効果が代表的、加えて、軟髄膜増強、脳幹病変、脊髄長大病変。神経サルコイドーシスやリンパ腫様肉芽腫が鑑別。

・これら鑑別として、単純ヘルペス(出血や拡散制限はこちらを支持する所見。単純ヘルペス後に二次性自己免疫性脳炎(特に抗NMDAR関連脳炎)が続発することもある)、痙攣後変化、神経膠腫など。


 

 

<免疫抑制背景患者の中枢神経画像>

感染症

 ・トキソプラズマ:20%にみられる特異的所見としてeccentric target sign(膿瘍ないに内腔に入り込んだ血管構造であるtarger状造影効果)

・HIV脳症:脱髄や空砲変性をきたして、脳室周囲白質や半卵円中心にmass effectを伴わない融合状高信号。

 ・真菌感染症:鉄沈着や出血のT2低信号をきたすアスペルギルス、血管周囲腔にゼラチン様の偽嚢胞を形成するクリプトコッカス、ムコールなど。

 

脱髄性疾患

 ・PML:JCV活性化で、oligodendrocyteを障害する。病変は片側性・両側性いずれもあり、左右非対称の斑状・融合状の病変を呈し、通常造影効果は認めない。拡散強調像が重要で、脱髄病変の辺縁部を縁取るようにDWI高信号を示す(特に皮質下)

 ・ナタリズマブ関連進行性多巣性白質脳症:多発性硬化症の再発予防薬で、0.3%にPML発症といわれる。

 

腫瘍:中枢神経悪性リンパ腫:免疫抑制状態では多発性(30-80%)、悪性神経膠腫や転移性と同様に内部壊死をおこしリング状造影効果をしめす腫瘤おして認められることもある。

 

 

<多発性硬化症のアップデート>

2024年改訂McDonald基準のおもな変更点

・視神経病変を空間的多発性を満たすための第5の領域として追加

・診断に時間的多発性は不要

・髄液中のkappa free light chain(kFLC)を診断バイオマーカーとして、髄液オリゴクローナルバンドの他に追加。

・CVSおよびPRLという2つの画像所見が診断基準にくみこまれる

・Radiologically isolated syndrome(RIS)患者が基準を満たすとき、臨床症状がなくてもMSと診断可能に。(高率にMS移行することや、早期治療介入の有効性のため)

 

Cental vein sign(CVL):白質病変の中心を小静脈が貫く所見。免疫細胞が小静脈を通じて中枢神経系に侵入することにより、白質病変が発生する。改訂基準では、6個以上が採用。

Paramagnetic rim lesion(PRL):白質病変の辺縁に鉄沈着rimを伴う所見。慢性活動性病変を反映とされる。外縁の2/3以上を連続して取り囲み、皮質や脳室上衣との境界は含まず、造影増強をしめすような急性期病変は除外。

 

MSとNMOD,MOGADの画像鑑別(いずれも中枢神経の炎症性脱髄疾患)

・脳病変

MSは脳室周囲に沿った卵円形病変や脳梁に直行して放射状に伸び、皮質や皮質近傍病変も特徴的で中小脳脚に複数病変を認めることも。

NMOSDは、第3脳室や中脳水道周囲、第4脳室近傍の脳幹、延髄最後野などの脳室系周囲に沿った分布が特徴的。白質病変はしばしば大きく、白質線維側に沿って広がる傾向で、特に錐体路にそった病変は示唆的。

MOGADは、大脳白質辺縁に毛羽立ちを伴う比較的大きな病変がひられることが多い。視床から内包後脚を含む病変、大脳脚病変、皮質病変も特徴的。軟髄膜の造影病変やテント下領域の毛羽立ちを伴う病変も。

・脊髄病変

 MSは通常2椎体以下の短い範囲に、脊髄辺縁部に位置することが多い

 NMOSDは、3椎体以上におよぶlong cord lesionが典型で、脊髄横断面の70%異常を占める中心性病変を呈することが多い。T2WIで脳脊髄液と同等の高信号を呈するbright spotty lesionは特徴。

 MOGADはNMOSD同様に中心性のlong cord lesionを示す傾向。円錐部病変や、横断面で灰白質に限局したH字型病変が特徴。

・視神経病変

 MSは眼窩内や視神経内に限局する、短区間・片側性病変が多い。

 NMOSDは長区間に及ぶ病変が多く、視交叉への進展が特徴的。

 MOGADでは視神経前方を主体とする両側性病変が特徴的。視神経の造影効果や腫大に加えて、視神経周囲炎を伴うことも特徴的。

 

 

<脳腫瘍治療後変化と治療関連合併症>

・術後早期CTでは術後出血や粗大梗塞の除外、48h以内造影MRIでは切除範囲評価や合併症検索目的。

・治療効果判定は「RANO基準」

・放射線誘発障害・壊死:治療後3-12か月の出現が多いが、数-数十年後発症も。

・放射線誘発白質脳症:治療後6か月以降に出現する晩期遅発性脳障害のひとつ。全脳照射後に半年で30%、3年でほぼ100%に認められる。神経細胞障害や脱髄、海馬神経新生障害が機序のよう。

・放射線誘発vasculopathy:晩期遅発性障害のひとつ。放射線じよる血管内皮細胞障害から、血管壁の壊死や繊維化が生じ、脳梗塞や脳出血,もやもや病様血管変化,血管奇形,微小出血など。(小児白血病治療後など。)なお、照射治療後、基底核や歯状核、皮質下白質に石灰化をきたすとradiation-induced mineralizing microangiopathy。

・radiation-induced cavernous malformation:頻度は7-41%。

・radiation-induced brain tumor:多いのは髄膜腫で、多発性・再発性・高悪性度の傾向。Gliomaは0.4%と比較的まれで、多くはhigh grade anstocytoma。

・SMART症候群:まれな遅発性合併症で、数年-数十年後に、片頭痛様頭痛,痙攣,視覚障害,失語や片麻痺などの一過性神経症状を呈する。MRIでは、症状に対応する大脳皮質に沿った、片側性のFLAIR高信号と皮質造影増強効果が多く、通常は拡散制限を伴わない。

 

・Temovolomide(TMZ)によるpseudoprogression

・Bevacizumab(Bev)によるpseudoresponse:血管内皮細胞増殖因子にたいする抗体のため

・BCNUウエハー:徐放性化学療法剤で、留置後はCT高吸収、T1WI/T2WI低信号、周囲にガス。1-3か月後には、CT低吸収、T1WI高信号、T2WI目立たなくなるという変化。摘出周囲腔にも嚢胞状拡大や浮腫性変化、1-2か月以内に造影増強や拡散制限も。

 

<治療関連中枢神経障害>

血管内皮障害および血液脳関門破綻

・ICANS:CAR-T療法にともなう神経毒性の発現。治療後3-6日に発症、7-8日がピークで、1-2週間かけて徐々に改善。CAR-T療法は、他にパーキンソン様症状(FLAIR 基底核高信号)、脊髄炎、顔面神経麻痺(造影増強)、虚血性脳血管障害、末梢神経障害

・PRES

・RCVC

・ARIA

・心臓手術やカテーテル後の微小出血

 

免疫介在性/irAE:下垂体炎が代表、他に髄膜炎、血管炎、脱髄も。

 

薬剤性直接神経毒性

・メトトレキサート脳症:白質脳症で、重症例では壊死性白質脳症

・メトロニダゾール脳症:小脳歯状核病変が代表的

・5-FUやシクロスポリンでも白質脳症

・エタンブトール視神経症

 

治療関連代謝浸透圧異常

・浸透圧性脱髄症候群(橋中心性はCPM、橋外髄鞘崩壊症候群はEPM):低Na急速補正が代表的だが、電解質異常、慢性アルコール多飲、低栄養、重症熱傷、肝移植後でも。

・Wernicke脳症:Vit.B1欠乏で。乳頭体(時に出血)、視床内側、第三脳室-注意脳水道周囲に異常信号

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