2024年11月25日月曜日

 臨床放射線2024.9-10 即時適応放射線治療が特集


・NTM(M.szulgai)による腱鞘炎

RA内服中の米状体をを伴う腱鞘炎として認めた。

手指,手関節はNTM腱鞘炎で頻度が高く、M.marinumが8割。慢性の経過をたどり、発赤,腫脹の局所症状は強いが、血液所見は軽度から陰性。画像は、隆起性の腱鞘炎で、下層の筋や骨組織を侵食せず、関節腔は保たれ、長期でも腱断裂なくrice bodyを認めやすい(非特異的で、RA,TBでも報告)。



・外耳孔に突出の髄膜腫

外耳孔に充満突出する弾性硬の多血性易出血性腫瘍として認めた。

乳突蜂巣から外耳道に膨張性に発育する髄膜腫は珍しい。頭蓋外では、頭皮40%,中耳,鼻腔と続き、他に側頭骨,眼窩,前頭骨など。en plaqueな形態、骨浸潤病変、硬膜肥厚、均一な造影効果などの所見を念入りにとることが大事(多血性の鑑別は、SFTやグロムス腫瘍)。


・頚静脈孔髄膜腫

周囲骨変化は、骨皮質の辺縁不整、内部構造を維持しての硬化性浸潤(permeative sclerotic appearance)が特徴とされる。

対してグロムス腫瘍は、虫食い状破壊を生じ、通常骨硬化は認めず、flow voidやsalt-and-pepperappearanceが特徴。神経鞘腫は神経方向に沿って進展し周囲骨を圧排するも、骨皮質は保たれる。



・上眼瞼のcrystal-storing histiocytosis

眼瞼の軟部腫瘤で、T2WI軽度高信号、ADC 0.73と低く、IgG4,サルコ,MALTリンパ腫が鑑別と考えられたが、CD68陽性組織球が好酸性物質を貪食しておりCSHの診断。

CSHは異常な結晶貪食を特徴とする組織球の増殖で、背景にリンパ増殖性疾患や形質細胞疾患が高率に存在。臓器限局7割、多臓器型3割で、骨髄、腎臓、肺、リンパ節に多い。アミロイドを沈着するとT2WI低信号となる。



・下腿のMTX関連リンパ増殖性疾患

RA加療中の下腿腫瘤として認め、休薬で縮小。

MTX-LPDは他のLPDよりも節外病変の割合が高く、半数で節外病変を認める。14%で節外病変のみ。画像鑑別は、粘液線維肉腫や悪性末梢神経鞘腫瘍など。



・後縦隔骨髄脂肪腫

髄外造血や脂肪肉腫との鑑別が大事であるが、111In-chloride骨髄シンチグラフィで集積を認めた。

骨髄脂肪腫は成熟脂肪組織と造血組織からなる。111In-chloride骨髄シンチは鉄と類似の体内挙動で、トランスフェリンに結合され網内系へ取り込み集積し、30%が赤色髄/活性骨髄、他に肝,腎,脾に分布。脂肪肉腫には集積の報告がなく鑑別可能(悪性で集積あるのは赤芽球性白血病など)



・原発性精巣精巣上皮癌

60代の精巣腫瘍で、T2WI中等度信号、軽度拡散制限あり、出血壊死と考える嚢胞成分と淡い石灰化疑いとして認めた。

精巣膿瘍は90-95%が胚細胞腫瘍、精索間質性腫瘍が2-5%。9歳以下は非セミノーマが多く、卵黄嚢腫瘍や成熟奇形腫が多い。50歳以上ではセミノーマが少なくなり、悪性リンパ腫(特にびまん性大細胞B細胞リンパ腫)が多くなる。


<精巣腫瘍について>

・2016年精巣腫瘍WHO分類改定 – これまでの形態学的な類似性のみに基づく分類 から、組織発生の類似性を優先した分類に

・精巣胚細胞腫瘍の前駆病変として、Germ cell neoplasia in situ (GCNIS)

・ 精巣胚細胞腫瘍はGCNIS由来胚細胞腫瘍とGCNIS非関連胚細胞腫瘍に⼤別されるように

・GCNIS由来胚細胞腫瘍は、18-45歳に発生し、遺伝子的特徴としてi(12p)の存在。セミノーマや非セミノーマ性胚細胞腫瘍などが含まれる。

 GCNIS非関連細胞性腫瘍は、i(12p)の存在を認めず、精母細胞性腫瘍、奇形腫/思春期前型などが含まれる。

・奇形腫と卵⻩嚢腫瘍は、GCNIS由来胚細胞腫瘍の思春期後型、GCNIS非関連胚細胞腫瘍の思春期前型に分類


・セミノーマは一般に、T1WI均一等信号、T2WI均一低信号で内部に低信号隔壁様構造(遷延性に造影)。非セミノーマはT2WI低信号の偽被膜を伴い、T1WIT2WIにて嚢胞変性や出血,壊死などの不均一信号をしめすことがある。



・アニサキスによる好酸球性肉芽腫

30代女性の横行結腸の粘膜下腫瘍として認め、経過で縮小、異所性子宮内内膜症や炎症性偽腫瘍を疑い、鑑別はGISTやデスモイド腫瘍。

アニサキスは感作後Ⅰ/Ⅲ型アレルギーの劇症型、初感染時の異物肉芽腫を形成する緩和型がある。病理的に、死滅/崩壊した虫体を核とした好酸球性肉芽腫や膿瘍を認める。消化管腫瘤、消化管外腫瘤、肝腫瘤、膵腫瘤などの報告あり。



・膵sclerosing angiomatoid nodular transfomation(SANT)

偶発発見。

SANTは赤脾髄由来の腫瘤形成性のまれな非腫瘍性血管性病変。MRIではT2WIで線維性間質を反映し、中心部でより車軸状,星芒状の低信号を呈し、同部にヘモジデリン沈着をきたしうる。造影で辺縁から内部にかけて遷延性に濃染し、いわゆるspoke-wheel pattern(特徴的だが半数程度でしか認めないかも)。拡散制限で多結節状の高信号。


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