臨床画像 2026.8
<心臓腫瘍>
①局在
②年齢や背景疾患(Af,悪性腫瘍既往,炎症性疾患など)
③画像で可動性、付着部位、造影効果、脂肪石灰化の有無
・原発性心臓腫瘍の75-90%が良性。
悪性は転移が多く、血管肉腫、悪性リンパ腫、中皮腫と続く。
・年齢:以前は成人では粘液腫最多と考えられていたが、弾性線維腫が最多。他に脂肪腫、血管腫。
小児では横紋筋腫が最多で、線維腫、奇形腫と続く。
・局在:
心房 粘液腫,肉腫。心室 横紋筋腫,線維腫。心膜 脂肪肉腫。心臓弁 乳頭筋線維腫と疣贅。どこでも 血管腫,脂肪腫,悪性リンパ腫,転移,血栓。
・血管肉腫:右心房で80%であり、上大静脈や冠動脈に沿って浸潤し、心房中隔は保たれやすい。心膜にも発生浸潤し、血性心膜液貯留を伴う。
画像所見は出血壊死。MRIでcauliflower appearance(腫瘍内の点状結節状の高信号)、sunray appearance(広範な心膜浸潤で、心外膜から心膜にむかって放射状に伸びる索状の造影増強効果)。
・横紋筋肉腫:小児原発性心臓悪性腫瘍で最多。発生母地は心筋だが、弁への浸潤傾向がみられるのが特徴。ときに中心部壊死。
・粘液腫:左房75%で、心房中隔卵円付近窩の有茎性腫瘤として認めることが多い。右房20%。他は心室内や大静脈内にも。
90%が単発性。若年・多発・左心房以外の発生で、Carney complexを考慮する。
画像は粘液基質を反映するが、壊死・出血・線維化で不均一なことも。
・脂肪腫:ほとんど単発。心房中隔の脂肪濃度病変として、心房中隔脂肪腫様過形成がある。
・横紋筋腫:小児心臓腫瘍で最多。最大90%、ほとんどが1歳までに診断され、その後成長にともなって自然退縮することも多い。60%で多発する。左心室自由壁発生が多いが、大血管発生で弁機能不全や流出路非側をきたすことも。
画像は、CTで心筋よりもわずかに低-等吸収、不均一弱い造影効果。MRI T1WI等信号、T2WIやや高信号。
6-8割は結節性硬化症に合併するので、考慮。また、結節性硬化症の5-6割でmyocardial fatty fociとよばれる心筋への脂肪沈着が見られる。
・線維腫:小児二番目。線維芽細胞と膠原繊維によって構成される。石灰化を3-5割で認める。
左心室自由壁や心室中隔に好発し、画像上は肥大型心筋症と鑑別。
家族性大腸腺腫症やGorlin症候群にも合併し、この場合心房発生が多い。
・奇形腫:心膜発生では右に好発し、大血管に茎を有して心膜腔内に存在。
心臓内発生は若年小児に多く、新生児-6歳までに発生。
・心臓悪性リンパ腫 primary cardiackymphoma:8割がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫。平均60歳、男性に多い。右心系特に右房に王発し、複数の心腔や心膜へ浸潤することも。鑑別となる血管肉腫よりも壊死や出血が目立たない。
・転移性心臓腫瘍:心外膜・心嚢・心筋・心内膜や弁などどこでも。
原発巣は、37%肺癌、血液腫瘍、乳癌、食道癌の順。
・乳頭状線維弾性腫:イソギンチャク様(sea anemone-like)の形態が特徴。腫瘍自体には血管成分を含まない。
弁尖、腱索、乳頭筋などの左室構造物に付着する、有茎性で可動域に富む小腫瘤(多くは2cm以下)
画像は粘液様変性、豊富膠原繊維に造影剤が分布。
<心臓腫瘍のミミッカー>
・心房市中隔脂肪増生、慢性拡張性血腫、左房血栓、IgG4など冠動脈周囲腫瘤
・心房限局性巨細胞性心筋炎 Atrial giant cell myocarditis:
特発性巨細胞性心筋炎はリンパ球や多核巨細胞,好酸球の心筋へのびまん性浸潤を特徴とし、心筋壊死や線維化をきたす。自己免疫疾患や炎症,アレルギーの関与が推定されている。
心房限局型だと、左房壁のびまん性肥厚と同部位の炎症性変化が特徴で、予後良好。
・IgG4関連心房限局心筋症、限局性心房アミロイドーシス:上記とも画像がそれぞれ似る。アミロイドーシスで左房解離をすることも。
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