2026年10月1日木曜日

 臨床画像 2026.8


<心臓腫瘍>

①局在

②年齢や背景疾患(Af,悪性腫瘍既往,炎症性疾患など)

③画像で可動性、付着部位、造影効果、脂肪石灰化の有無



・原発性心臓腫瘍の75-90%が良性。

 悪性は転移が多く、血管肉腫、悪性リンパ腫、中皮腫と続く。

・年齢:以前は成人では粘液腫最多と考えられていたが、弾性線維腫が最多。他に脂肪腫、血管腫。

 小児では横紋筋腫が最多で、線維腫、奇形腫と続く。

・局在:

 心房 粘液腫,肉腫。心室 横紋筋腫,線維腫。心膜 脂肪肉腫。心臓弁 乳頭筋線維腫と疣贅。どこでも 血管腫,脂肪腫,悪性リンパ腫,転移,血栓。


・血管肉腫:右心房で80%であり、上大静脈や冠動脈に沿って浸潤し、心房中隔は保たれやすい。心膜にも発生浸潤し、血性心膜液貯留を伴う。

 画像所見は出血壊死。MRIでcauliflower appearance(腫瘍内の点状結節状の高信号)、sunray appearance(広範な心膜浸潤で、心外膜から心膜にむかって放射状に伸びる索状の造影増強効果)。

・横紋筋肉腫:小児原発性心臓悪性腫瘍で最多。発生母地は心筋だが、弁への浸潤傾向がみられるのが特徴。ときに中心部壊死。

・粘液腫:左房75%で、心房中隔卵円付近窩の有茎性腫瘤として認めることが多い。右房20%。他は心室内や大静脈内にも。

 90%が単発性。若年・多発・左心房以外の発生で、Carney complexを考慮する。

 画像は粘液基質を反映するが、壊死・出血・線維化で不均一なことも。

・脂肪腫:ほとんど単発。心房中隔の脂肪濃度病変として、心房中隔脂肪腫様過形成がある。

・横紋筋腫:小児心臓腫瘍で最多。最大90%、ほとんどが1歳までに診断され、その後成長にともなって自然退縮することも多い。60%で多発する。左心室自由壁発生が多いが、大血管発生で弁機能不全や流出路非側をきたすことも。

 画像は、CTで心筋よりもわずかに低-等吸収、不均一弱い造影効果。MRI T1WI等信号、T2WIやや高信号。

 6-8割は結節性硬化症に合併するので、考慮。また、結節性硬化症の5-6割でmyocardial fatty fociとよばれる心筋への脂肪沈着が見られる。

・線維腫:小児二番目。線維芽細胞と膠原繊維によって構成される。石灰化を3-5割で認める。

 左心室自由壁や心室中隔に好発し、画像上は肥大型心筋症と鑑別。

 家族性大腸腺腫症やGorlin症候群にも合併し、この場合心房発生が多い。

・奇形腫:心膜発生では右に好発し、大血管に茎を有して心膜腔内に存在。

 心臓内発生は若年小児に多く、新生児-6歳までに発生。

・心臓悪性リンパ腫 primary cardiackymphoma:8割がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫。平均60歳、男性に多い。右心系特に右房に王発し、複数の心腔や心膜へ浸潤することも。鑑別となる血管肉腫よりも壊死や出血が目立たない。

・転移性心臓腫瘍:心外膜・心嚢・心筋・心内膜や弁などどこでも。

 原発巣は、37%肺癌、血液腫瘍、乳癌、食道癌の順。

・乳頭状線維弾性腫:イソギンチャク様(sea anemone-like)の形態が特徴。腫瘍自体には血管成分を含まない。

 弁尖、腱索、乳頭筋などの左室構造物に付着する、有茎性で可動域に富む小腫瘤(多くは2cm以下)

 画像は粘液様変性、豊富膠原繊維に造影剤が分布。


<心臓腫瘍のミミッカー>

・心房市中隔脂肪増生、慢性拡張性血腫、左房血栓、IgG4など冠動脈周囲腫瘤

・心房限局性巨細胞性心筋炎 Atrial giant cell myocarditis:

 特発性巨細胞性心筋炎はリンパ球や多核巨細胞,好酸球の心筋へのびまん性浸潤を特徴とし、心筋壊死や線維化をきたす。自己免疫疾患や炎症,アレルギーの関与が推定されている。

 心房限局型だと、左房壁のびまん性肥厚と同部位の炎症性変化が特徴で、予後良好。

・IgG4関連心房限局心筋症、限局性心房アミロイドーシス:上記とも画像がそれぞれ似る。アミロイドーシスで左房解離をすることも。

 

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