臨床放射線 2026/5-6
<漿液性境界悪性卵巣腫瘍茎捻転>
・捻転は癒着のない良性卵腫瘍に多く、悪性腫瘍発生は稀
・症例は50代女性で被膜破綻による広範囲出血をきたしていた。捻転によるwhirlpool
sign(渦巻き状構造)とprotusion(子宮の間の突出構造)、腫瘍周囲の血腫を認めた。
<脂肪肉腫様分化を伴う子宮癌肉腫>
・癌肉腫は上皮成分と間葉系成分からなる。上皮成分が上皮間葉転換をへて、間葉系成分を獲得するという「転換理論」が支持されている。。
平均年齢70歳と高齢に。60%で子宮外病変。
間葉系成分は、内膜間質肉腫などの同所性成分や、横紋筋肉腫(18%)、軟骨肉腫(10%)、骨肉腫(5%)などの異所性成分に分化しうる。脂肪肉腫様分化は1%程度とまれ。
・症例は80代女性で子宮内腔を占拠する巨大腫あり、造影不良域を伴い、一部に脂肪濃度。Airも認め、発熱原因に子宮内感染も示唆された。
<卵巣ディスジャーミノーマの捻転>
・ディスジャーミノーマ(未分化胚細胞腫)は卵巣原発胚細胞性腫瘍で最多。10-20歳に好発。右卵巣に好発し、10-15%で両側性。血清LDHがしばしば上昇したり、ALP,CA125,hCGなど上昇することがある。
画像は充実性、分葉構造。線維血管隔壁(fibrovascular septa)が特徴的で、T2WI低信号で造影効果を伴うことが多い。浮腫の程度によりT2WI高信号を呈し、造影効果と伴わない場合もある。隔壁は、薄い非浮腫性隔壁、薄い浮腫性隔壁、厚い浮腫性隔壁、地図状n浮腫性隔壁の4タイプに分類され、半数は複数種類の隔壁をもつとされる。また、隔壁から収束する血管(central
blood vessels)も特徴の一つとされる。腫瘍は高細胞密度とされる。
・症例は8歳女児。腹痛で来院。
<中枢神経系悪性リンパ腫:PCNSL>
・PCNSLは免疫正常で孤立性、均一な造影効果、脳室周囲白質-脳梁、基底核に好発する。しかし、免疫正常な非HIVでもまれに出血や非典型な造影パターン(0-13%でリング状造影増強)。
・症例は70代男性。多発、出血、open-ring状の増強を示し、ADEMや(その重篤型の)AHLEや血管炎との鑑別が問題となったが、DLBCLだった。
・過去の報告もDLBCLが多い。CD105やVEGF陽性から、腫瘍血管の脆弱性が考えられる。また、明らかな出血でなくても54%でT2*低信号を確認との報告もある。
<ゼラチンスポンジ肉芽腫>
・頭蓋内のゼラチンスポンジでの合併症は稀。非吸収性止血剤。
この異物反応は、マクロファージが融合した異物型多核巨細胞が出現することが特徴。
リスク因子として、低年齢、アレルギー素因による過剰な免疫反応、ゼラチンスポンジが大きいこと、留置部の脳組織の梗塞や血管内血栓痙性、CRT後の血球減少による分解吸収阻害。
術後数日から2.5か月ではリング状の造影効果を呈し、術後三か月後移行は均一結節状造影効果を占めるという。造影効果は炎症細胞浸潤や肉芽を、T2WI高信号は内部液体を、低信号は肉芽の線維成分を反映し、時間経過とともに肉芽がゼラチンスポンジの周囲から内部に進展するとされる。
・症例は7歳女児で、ナッツアレルギーあり。内視鏡下第3脳室開窓術後に発生。鑑別はゼラチンスポンジアレルギーや脳膿瘍。
<腹膜中皮腫>
・胸膜中皮腫(90%「)についで、腹膜中皮腫(7%)は多い。年々腹膜が増加傾向。胸膜よりも診断時年齢が若く、アスベストとの関連が強くない。一方でアスベスト高濃度暴露で、発生リスク上昇や潜伏期間が長く20年と報告される。
組織学的には、上皮型、肉腫型、二相型に分類。上皮型が多い。
画像パターンは、dry type(腫瘤形成型:結節状や板状腫瘤)、wet type(腹水型)、combined
type(混合型)に分類。T2WIでは高信号、拡散制限はまちまち。
・症例は50代男性。偶発指摘の肝腫瘤として精査。肝ドーム下や左葉橈側に、境界明瞭腫瘤。T1WI低信号、T2W高信号、早期からの造影効果、ADC低下なし。
<膵管内管状乳頭状腫瘍(ITPN)>
・ITPNは粘液算出の乏しい高度異型上皮によって構成される膵管内腫瘍。比較的新しい疾患概念。
膵管内に、管状,乳頭状に造成する。粘液産生なく、MUC2,MUC5AC陰性なこと、腫瘍全体がhigh gradeなことがIPMNとは異なる。
・症例は60代女性。後方視的に7年前から、主膵管拡張が出現明瞭化、不明瞭化、再度明瞭化。T2WIで不均一高信号、DWI高信号の病変を拡張膵管内に認めた。鑑別は、NET,腺房細胞癌の主膵管内進展。
この経過は、ITPNの出現による主膵管閉塞により主膵管が拡張し、管腔構造が這うように充実性に置換されたことで液体成分が見えなくなり、さらに病変進展による末梢圧上昇で再度主膵管が拡張したと考えられた。同様の経過報告あり、特異な経過が特徴的な可能性も(他の腫瘍でもみとめる経過の可能性も)。
<10年間に胸膜外血腫、胸壁血腫、腹直筋血腫、血胸を発症>
・症例は60代女性。
交通外傷後遺症または先天性要因で左下位肋骨先端が鋭角化したことや腹圧負荷によって、ひきおこされた可能性。
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